企画主旨
雑踏を見ていると、時々呆然とすることがある。目くるめく人の波、そこには幾千、幾万もの個性が集まっているはずなのに、目前に広がるのは、同じような個体を持つ物体の集合でしかない。ミニマリズムの作家たちが、同じ素材を繰り返し並べることで個的な表現を消し去ったのと同じ意味で、繰り返し押し寄せる人体の流れは、個人の喜びや悲しみ、やさしさや怒りを無表情な積み木細工の中に凍結してしまうのである。 小さな意味の中の大きな可能性は取るに足らぬチリのように土足の下にまみれてしまうのだろうか。 そんなことはあってはならない。あってはならない。 だから、りさ・キャンは今日も歩く、歩く。君たちの、僕の個性を殺さないように。そして、雲の中のひそやかなしずくを守るために。
りさ・キャンを探せ!群集を撃て!彼女はいつも君といる。
(伊東順二)
東京駅の大晦日。冬の本牧海釣り公園。上野公園鳩信者。銀座なら不二家ビル。所沢ではコルベット。池袋には蠅博士。小荷物持って大崎へ。江ノ島には階段が、青森には講習が。渋谷の鍛錬、成田の反省。代々木は撮らずに長野に飛んだ。九十九里まで三時間。恵比寿の殿と王子の花と。男爵の住む本八幡。変更させない皇居の車線。桜は多摩川、つつじは練馬。新宿12時ちょうどのアルタ前。次は静岡、N.Y.。
会期
1999年4月20日~1999年4月26日
会場
LANDMARK Gallery
協力
株式会社ジェクスト
プロデューサー
伊東順二
企画制作
ランドマークホール
主催
三菱地所株式会社
さとう りさ プロフィール
1972年 | 東京都に生まれる |
1994年 | 「女10人展」(銀座K1ギャラリー) |
1995年 | 「A+O」展(芸術劇場展示室) |
1996年 | コンテンポラリーアート協会特別賞 |
1998年 | グループ展「STUDY ROOM」(光村アートプラザ) 新宿高島屋「WARKING MUSEUM」参加 フィリップ モリス アート アワード ファイナルセレクション (東京国際フォーラム) パルコアーバナート#7グランプリ受賞 グループ展「シック&キッチュ」(Pepper’s Gallery/銀座) |
1999年 | 東京芸術大学美術学部デザイン科大学院 修了 バルーンフェスティバル「HOT AIR!」(グランシップ/静岡) 個展「リサ・キャン・ドゥー・イット」(横浜ランドマークホール) グループ展「COMMUNICATION」(Pepper’s Gallery/銀座) ARCUS Pilot Project 1999 参加(茨城県守谷町) |